ガギガギの塔

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「アズ、どうして直進じゃないの! これじゃドーマを捉えるのに、あと地球を1周分待たなくちゃならないわ!」 けれどもアズは操縦桿を倒したままである。 口を思い切りへの字に曲げている。 「あのシャーイー2機の武装は何なんだ、飛行母船を沈められる程の弾薬を積んでいる。アデュム作戦てのは、キランの反政府勢力の保護と第3次帰還船の捕獲だけが目的じゃないのか!」 「え?」 右に進路を変えた新月に合わせて、上空から飛来した青いX翼も翼を翻す。 4枚の翼の間全てに、円柱型の巨大なミサイルポッドをつけている。 「アズ! 前方からローズマリー3機!」 「ふざけるなって言うの!」 アズが操縦桿を左の胸に引きつけた時には、すれ違いざまのローズマリーが放った無数の中間物質弾が新月号を襲う。 これだけならまだ良い。 ラムダの斥力を全面に展開するだけで足りる。 「違うよシオン! 斥力のバリアは後ろだ!」 アズが叫ぶか叫ばないかのタイミングで、シャーイーが搭載している計8台のミサイルポッドは火を吹いている。 新月号はガラ空きの背後を取られた。
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