ガギガギの塔

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新月号のコクピットに警戒音が響く。 アズは中央のフットペダル2つを思い切り踏んで、操縦桿も思い切り胸に引き寄せた。 顎を上げた新月号は、W型の翼と胴体を使い急激な減速を落下の放物線の中で行う。 自動追尾型のミサイルの減速と方向修正は新月の動きには間に合わず、その白い肩先を一旦は行き過ぎた。 けれども、ここからが厄介である。 80発を超えるミサイルは、それぞれが自由な軌跡に煙を撒き散らして新月の追尾を始めるからだ。 ミサイルを撃ち尽くしたシャーイーとそれを支援するローズマリーは、誤爆から逃れる為と次なる運動に備えて垂直に上昇をしている。 「シオン、海面ギリギリまで降下する。下半分は海で防ぐ。そしてラムダを解放する」 「了解」 上昇する道を阻まれた新月は、加速をしながら高度を下げる。
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