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2機の黄色いオメガは、南西の方角へ飛び続けている。
帰還船を抱いたドーマの遥か下の方を飛び続けている。
途中、途切れ途切れのキランの軍事回線の声を拾った。
「どうなんだJJ、強硬派とギルネ中将の穏健派の和解協議とか、何十年もいがみ合って来た軍閥がおいそれと1つの方向なんて向けるものかね?」
自動航行中である。
001AAはパイロットシートで足を組み、頭の後ろで手を組んでいる。
「AA、私はね、新物質が全てイケナイと思うの。人が新物質を発見してから世界は何故か間違った方向に進んでいるような気がしてならない。新物質とか全部捨ててしまえないものかしら」
「ジャゲポーが無事にスカラを押さえたらしい」
「ハナマ大佐とクロッカスが上手くやったのね」
ドーマを捉えているモニターの放物線が微妙に変化している。
「ドーマ、変な動きだね。サトゥーマ・ゼアンネは何を考えているのやらさ。ねえJJ、この任務が終わったら‥‥‥」
「終わったら?」
「君に名前をつけてあげるよ」
オメガは、西陽を浴びながらの飛行である。
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