ガギガギの塔

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「フェイス、貴様の仕業か!」 白髪を逆立てながらサトゥーマは叫ぶ。 「違いますよ。タワーの斥力システムはもうズタズタです。斥力発電も機能してないみたいですよ」 「キェ~、220階のヘリポートだ。フェイス! どれでも良い、近場に居るブレーンシップへ思考波を送れ、ヘリポートまで私を迎えに来るように命じろ! 急げ!」 サトゥーマは格納庫の非常階段へ走った。 階段前のシャッターが降りているのに呆然として、タワー指令室への内線電話を慌ててとった。 「馬鹿ども、議長専用機格納庫の非常階段を開放しろ、早くしないとタワーが崩れるだろうが!」 受話器を叩きつけられたシャッターが渋々開くと、サトゥーマ・ゼアンネは左右にフラつきながら階段を降りた。 カンカンカンカンと鉄の音が響く。 「ケッ」 サトゥーマの背中が消えると、フェイスは赤い消火栓の近くにある据え置き型のイアーノウの前に立った。 送信ボタンに触れ、緑色のランプへ思考波を送った。 《こちらサフスタワーだ。タワー近くにブレーンシップがいたら通信を受けてくれ。サフスタワーは倒壊する。離れないと乱れた斥力に巻き込まれるぞ》 フェイスは満足そうに笑い拳銃を構えると、イアーノウへ向けて3発の銃弾を放った。
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