アルミナ・ジャーン空挺団

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  「ヤナギ・アズ。ロマァのイエロラをドゴンゴまで飛ばして来な。それが入団試験だ」 母船ドゴンゴは空の高い場所。 月に並んで浮かんでいる。 アルミナ・ジャーンはコートの裾を翻し、シオンは掴んだままでいたアズの上着の袖を強く引いた。 「空賊なんてヤダ~」 「このチャンスを逃す手はないさ」 「もう!」 ロマァのイエロラは、機首の半分位までを田んぼの土に突っ込んでいる。 開かれた状態のキャノピーの中から、12、3歳位の女の子が現れた。 タラップをゆっくりと降りてくる女の子。 彼女がロマァ付きのF体であろう。 「キランはあんな小さな子までも前線に出しているのか‥」 「みたいね」 「ワガママが過ぎるよ」 女の子は前を見たまま、墜落したロマァのイエロラへ向かうアズとシオンとすれ違った。 すうっという感じで、すれ違った。 《誰もが皆ワガママよ》 アズとシオンの脳に言葉を残した。 墜落したイエロラまで歩いたアズは、シオンがタラップを登りきるのを見届けると、ロマァ付きの女の子を振り返った。 《そんな事は、無いと思うよ》 アルミナ・ジャーンの前にいる女の子の背中に言った。   
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