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《ザ──ツ。ヴィト・ヒン、応答しろ! サフスタワーは捨てた。私は今、ベネネイを駆って太平洋を目指している。アデュム作戦は多少形を変えはしたが完遂させる。私はより近い場所で至極の時を迎えるだろう》
《ザ──ツ、サトゥーマ様。ドーマはベネネイの真上ですよ。速度を上げて下さい。おいて行っちゃいますよ。うるさいハエが2匹ほどついて来てますけど》
帰還船を抱いたドーマの左右には、ドクロマークとサメペイントのオメガ。
時々翼を接するほど近付きはするのだが、その度にドーマの翼からラムダの帯が伸びるらしい。
オメガの操縦桿を握るレプリカはその危険を感じるから、素早く翼を翻しては距離をとる。
それを数十分続けてきた。
ベネネイを加速させたサトゥーマは、運動に上昇を加えて3機のブレーンシップを追う。
「もう直ぐだ。もう直ぐ別宇宙との会話が出来る。15年前は初めての体験で戸惑ったが、今度は違う。魂の深い場所で会話を行い、選ばれし者として認めてもらおう」
ベネネイは、ラムダの動きを確認出来る距離にまでドーマに接近した。
オメガ2機はまた、ドーマへの接近を試みている。
《ザ──ツ。サトゥーマ様、聞きましたよ。という事はですよ。もしかしたら僕だってその選ばれし者とかになれるんじゃないですか? それも貴方が消えてくれれば、その可能性はもっと高くなる。でしょう。そうでしょう?》
「ヴィト・ヒン! まさか貴様!」
ドーマのラムダがスルスルと伸びた。
本物の獲物を見つけた。
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