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「ひゃっ、解ったぞ。僕には解った! なんたってラムダを喰って平気で居られるんだからね」
「貴方、何を解ったの?」
ヴィト・ヒンに質問をしたのはドーマのコア。赤い髪の女である。
棺の形に似た、無粋なシートに座っている。
サトゥーマのベネネイは、既にラムダの帯に絡め取られた。
蜘蛛の糸に引きずられる餌の様に、ドーマが作る気流の乱れの中で、クルクルと踊っている。
「太陽の翼計画とかはね、よく崇高な計画とかなんとか宣伝されてたみたいだけれど、サトゥーマと同じさ。ラムダに見入ってしまった一握りの人間が、ラムダの虜(とりこ)になっただけさ。雪だるま式に大きくなる欲望を抑える為に、新たな斥力、ラムダを欲し続けただけさ。けれども僕は違うんだなぁ。ラムダに認められた唯一だから」
「そう?」
ドーマのコクピットの中はラムダの海である。
そして赤い髪の女は、小さなため息をついた。
棺の下からラムダナイフを逆手で抜き取ると、コアシート前面のパネルへそれを突き刺した。
「お、お前、何をするんだ!」
狭い空間に放電の稲妻が走る。
「私は不適格品でね。色々辛い思いばかりをしたのさ。けれども担当の研究者は優しかったわぁ。何時も泣いている私に、ラムダは本当は良い物だと毎日の様に言っていたわぁ。ラムダは本来、ノーマルへも語り掛けるんだって。ラムダキーが必要なんだって。貴方、それ、解る?」
「へ?」
ドスンという衝撃を感じる。
ドーマに引きずられていたベネネイが消えた。
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