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「シオン、ドーマのイメージが消えた」
「太陽の翼計画ももう終わる‥‥」
「シオン、あのさぁ‥‥」
「ううん、言わなくて良いよ。アズの好きな様にして」
「ありがとう‥‥」
サフスタワーに広がったラムダの帯は、あちらこちらの鉄のちぎれた先から空へこぼれている。
手のひらを広げて朝陽を掴み、今は海側から吹き付ける風に乗って消えてゆく。
《ザ──ツ。こちら第8航空隊のC337だ。激しい斥力の消耗を確認している。新月号は退避を》
《ザ──ツ。第6航空隊だ。新月は十分やった。速やかに退避を》
輸送機2つは、新月号の上で落ち続けているタワーの残骸を斥力で弾いている。
アズとシオンは肩で息をしながらそれを感じた。
新月はその傷付いた左の脚を柱脚から引き抜き、それを大きく伸ばしてまた鉄塔に突き刺す。
次は右の脚、更に下へと伸ばして鉄をつかむ。
それを交互に繰り返して進んだ先にあるのがタワーの制御室。
タワーに残った7人は、その中にいる筈だ。
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