ガギガギの塔

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子供もいれば大人もいる。7人が7人、必死で走って新月号の広くも無いコクピットへ飛び込んだ。 基礎の斥力を失ったサフスタワーは、ガシンガシンと下へ下がっている。 キャノピーが閉じられると、中はぎゅうぎゅう。 「お嬢ちゃん、これだけは蹴らないでね」 アズは操縦桿を倒している女の子の足を、ヒョイと自分の太ももへ乗せた。 「ふぅ──っ、良し。新月! 飛っべぇ──!」 「新月号! 行っけぇ──!」 斥力を失った新月号であるが、緊急退避は火薬で行なえる。 バスッと制御室から首を抜いた。 ガツンと両脚で柱脚を蹴った。 そしてボロボロなW型の翼を目一杯に広げて、海から吹いて来る朝の風を掴んだ。 朝陽がまぶしくて眩しくて‥‥‥異能体の去ったガギガギの塔は、その姿を消してゆく。 「ありがとうナチュラル。だいぶ疲れているようだ、私はそれなりにグライダーの飛行時間があるから、君さえ良ければ麓の町までの操縦を代わろう」 パイロットシートの横の青年が尋ねてくれた。 「ありがとう‥でも、何だか気分が良いんです。誰にも頼らずに飛べている気がするんです」 アズはふわりと新月号を上昇させてみた。 左右を並走するC337は、慌てる様にして道を開けた。
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