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《ザ───ッ‥‥何だい何だい何だい! 翼にある2本線は、エースの印じゃないのかい?》
また別の声がアズの頭の後ろに飛び込んでくる。
「後続がいる。もう1機か? いや2機だ!」
銀色の次に北の山を飛び越えて来たのは、黒い複葉の翼。
「キランのオカルトじゃないか!」
ローズマリーより一回り大きなそれはアズ達の真上を過ぎると、右の翼を上にあげて先ほどのローズマリーを追う。
そしてまた、北の山を越えて別のローズマリー。
その銀色は先行2機に倣い旋回姿勢に入ると、翼の付け根から白い煙を出して何かを射出した。
ローズマリーの打ち出した何かの1つが、南の小山に落ちたらしい。
大きな柿の木を、太い根っこごとクルリとひっくり返した。
最初のローズマリーが思い出した様に東の空で上昇を始めると、黒いオカルトがそれを追い掛け、更にそれを2機目の銀色が追う。
「オカルトの奴‥上手いな‥」
アズとシオンが見上げた空で、3機の斥力がもつれ合う。
世界は今もワガママを続けていて、それはグジャクジャに絡まって滅茶苦茶。
「アズ、あれ‥‥」
最初のローズマリーが煙を吐いた。
空の高い高い場所から、ワガママの1つが、キリをもむようにして落ちてくる。
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