アルミナ・ジャーン空挺団

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イエロラのコクピットは狭い。 運転席の後ろにF体が座るためのコアシートがある。 コアシートの天井には、美容院の大型ドライヤーの様な被り物。 思考波を新物質に送る装置と思われる。 前述したが、新物質自体には斥力が無い。 思考波が新物質に忍び込んで、外宇宙からの力を誘い込む。 スポッとコアシートに収まったシオン。 四方を確認し終えると目を閉じた。 「父さんのイエロラの記憶、少し薄いわ」 「練習機だったからね」 アズはそう答えると、勢い良くパイロットシートに飛び込んだ。 少年がシート横のパネルに触れると、金属製の不透明なキャノピーが閉じられ、後ろのコアシートのシオンのイメージが、パイロットに外界の情報を伝える。 「ねぇアズ」 「ナニ?」 アズはパネルをパチポチ。 「中途半端したら‥‥」 「したら?」 ‥‥‥ 「絶交だからね!」 「うん!」 コクピットの中は鮮やかな緑色に輝き、ブレーンシップ・イエロラは、ガサゴソと土の中から頭を抜いた。 地面から少しだけ浮いた姿勢でで力を溜めると、勢い良く月の浮かんだ空へ上昇する。 「ヒャッホ───」 「行っけ───!」 真っ直ぐに真っ直ぐに、上を目指した。  
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