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ジャーン空挺団の船は大きい。
ドングリ型の下の方は、3機のイエロラの格納庫。
その上が倉庫群になっていて、そこから上が団員の居住空間になっている。
内部は芯をくりぬいたパイナップルみたいになっていて、内側の廊下の手摺が、ぐるぐると上に延びている。
斥力は副産物として電気を作るが、それの足りないところは薪を使っている。
吹き抜けに漏れた煙は、部屋部屋の灯りに照らされて、ゆっくりと上へ昇ってゆく。
「しっかし驚いたね。君らイエロラを動かしたのは、本当に初めてなのかい?」
吹き抜けの底で、アズとシオンを待っていたのは、小柄なパイロットロマァである。
「ジャーン様は運転区画へ登って行っちゃったけど、合格だってさ」
丸い黒ぶち眼鏡の、塾の講師みたいな若者である。
空賊という物騒な響きが、似合わない風体をしている。
「腹が減ったろう? 食堂が空いてる時間だから行こう。上の方にあるからけっこう歩くけれど、料理長のスープは格別だよ」
さっきから1人で喋っている。
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