空飛ぶドングリ

2/8

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
  ジャーン空挺団の船は大きい。 ドングリ型の下の方は、3機のイエロラの格納庫。 その上が倉庫群になっていて、そこから上が団員の居住空間になっている。 内部は芯をくりぬいたパイナップルみたいになっていて、内側の廊下の手摺が、ぐるぐると上に延びている。 斥力は副産物として電気を作るが、それの足りないところは薪を使っている。 吹き抜けに漏れた煙は、部屋部屋の灯りに照らされて、ゆっくりと上へ昇ってゆく。 「しっかし驚いたね。君らイエロラを動かしたのは、本当に初めてなのかい?」 吹き抜けの底で、アズとシオンを待っていたのは、小柄なパイロットロマァである。 「ジャーン様は運転区画へ登って行っちゃったけど、合格だってさ」 丸い黒ぶち眼鏡の、塾の講師みたいな若者である。 空賊という物騒な響きが、似合わない風体をしている。 「腹が減ったろう? 食堂が空いてる時間だから行こう。上の方にあるからけっこう歩くけれど、料理長のスープは格別だよ」 さっきから1人で喋っている。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加