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「なんだロマァ、酔ってるのか?」
「あれぇ? だって俺、非番でしょう?」
「非番なもんか! ストンコが風邪で寝込んでるのを忘れたのか!」
ガジャラが太い腕を振り上げたから、アズはそのゲンコツを止めに入った。
「ガジャラさん待って‥って‥‥あれあれ‥と言うことは、イエロラのパイロットが足りないって事?」
またぁ?
「足りない事は足りないが‥‥いやいや、お前には関係ない。黙ってろ!」
鐘の音は鳴り続いて、家々は雨戸を閉めてゆく。
「ガジャラ、何をしている! ロマァ‥‥か──っ」
ガジャラに続いて、食堂のドアを開けたのはアルミナ・ジャーン。
どうにも頭が切れる女であるらしい。
この状況を即座に理解したらしく、プイッと後ろを向いてビュンと駆け出した。
「アズ、シオン、来な!」
とだけ言った。
アズもバネのように走り出し、追い付いたジャーンの背中に聞いた。
「ジャーンさん、もしもですよ、もしも敵さんがブレーンシップを飛ばして来て、そんでもってそれを捕まえたら、貰ってもいい?」
ジャーンもアズも、木製のスロープをぐるぐると駆け降りている。
「‥‥考えておく」
アルミナ・ジャーンは、目をキラキラさせている少年にそれだけ言った。
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