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《小僧、聞こえるか?》
ガジャラからの通信。
《オカルトの2枚翼の上の方、小さい羽根は翼じゃねえ》
《なら何なんです?》
《獲物を捕らえた瞬間、フラップの様な物を上下に開く。その口から攻撃用の斥力を放出する。捕まったと感じたら、有無を言わずに距離を取れ。分かったか?》
左前方、ジャーンが向かった空に、赤い信号弾が上がった。
新物質は電磁波を出したり弾いたりはしない。
ブレーンシップ同士の空中戦は、コアシートの異能体が互いの位置を探り、異能体のビジョンを脳裏に投影されたパイロットの意識の視界の中で行われる。
信号弾は、オカルトが母船に向けて、何かを伝えているわけだ。
「1番機が食い付かれたわ」
コアシートのシオンが、アズに教える。
「駄目だ‥‥オカルトの奴、やたらと速い!」
ジャーンのイエロラのイメージに、黒い大きな複葉の影が近づいている。
「この機体、頑丈かなぁ?」
アズは座席下のツールボックスの蓋を開けた。
開けたその中へ放り込んだのは、ラムダナイフ。
左手を後ろに回して、シオンからもう1本のラムダナイフを受け取り、それもツールボックスに入れた。
「シオン、ラムダを使う!」
「仕方ないわ」
アズは3番機の左側にあるフッドペダルを、目一杯に踏んだ。
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