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オカルトの鼻先を掠める行為は、黒い翼のバイロットの意識に干渉しただけで、オカルトとジャーンの1番機の距離には、何の変化も与えない。
「ゴメンねシオン。もう少しだけ頑張って」
アズの右の頬に、ピシャリと生温い液体がひっつく。
操縦桿は引いたまま、左のペダルは強く踏んだままである。
「アズ‥ゲプ‥谷口貫太郎の娘をナメないで‥ケプ‥‥」
機体はギシギシ鳴くし、オカルトからの重いイメージまで届いて来る。
《アルミナ・ジャーン、アズだ。イエロラの武器を教えてくれ!》
《操縦桿の頭、12、7ミリの通常弾だ》
《後は?》
《それだけだ‥》
《マジですか!》
《本当だ‥‥‥》
《く‥空族って、もしかしたらもしかしたら、もしかしたら、頭わるいでしょ!》
大きなRを描いた後、アズのイエロラは、再び前方にオカルトを捕らえた。
2枚翼の上の翼が、ジャーンの1番機に向けて口を開いている。
攻撃用の思考波を出すとガジャラは言っていた。
「どうするのさ、どうするのさ、どうするのさ!こんなんでヤれるのかよ!」
アズはパネルを操作して、イエロラ3番機に着陸姿勢を強要した。
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