97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
アズの3番機は翼を開き、空気の抵抗をわざと受けて減速する。
開かれた両翼からは、爪の付いた着陸用の太い脚。
《ジャーンさん、ひたすら上昇して! ガジャラさんが追い付いたら、ジャゲポーの母船を攻撃して!》
《アズ、お前は?》
アルミナ・ジャーンは素直に操縦桿を引いた。
《それを聞くの? オカルトを落とすだけさ!》
1番機を追う為にオカルトも首を上げ、後方から接近するアズのイエロラには、胴体の後ろから新物質を練り込んだ鉛の玉を放出した。
イエロラはギリギリのところで鉛玉を交わし、若干ふらつきながらも両脚を前に伸ばした。
「シオン、揺れるよ」
「‥ゲプッ‥」
ガシャン
オカルトの小さい方の翼は、意外と柔らかい造りだった。
イエロラの鋭い爪は翼の奥にある構造体をギリガリと締め上げる。
けれども大きさが違い過ぎ。
黒いオカルトは、翼に引っ付いた黄色いイエロラの倍はある。
そのままイエロラを背負って、グイグイグイと上昇を続ける。
《誰、君?》
オカルトのパイロット?
《ヤナギ・アズ》
素直に答える。
《そう‥私は、ジャゲポーのEE。EEはF体のコードネーム。名前は無い》
グイグイと上昇する。
最初のコメントを投稿しよう!