ジャゲポーのEE

15/16

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
  轟音が大気を揺さぶり始めた。 シャゲポーの母艦を捕捉したドゴンゴの砲撃である。 シャゲポー側もそれに応えて砲弾を放ち、夜の空にオレンジや赤い線が行き交う。 葉巻型で巨大なシャゲポーの母船であるけど、搭載しているブレーンシップはオカルト1機だけらしい。 ジャーンのイエロラに食い付かれると、ジリジリと北の方へさがり始めた。 アズのイエロラと、EEのオカルトが落ちたのは砂浜である。 頭からそれに突っ込んだイエロラを、静かな波が洗っている。 「アズ‥大丈夫?」 墜落の瞬間、アズはコクピット中の斥力を、シオンを守る事だけに使った。 自身の体は、強かに計器類にぶつけている。 「意識は快晴の空だよ。若干、見慣れない黒い鳥が、こっちを見ているのが不愉快だけど」 イエロラのすぐ隣で、オカルトも海面に首を突っ込んだまま動かない。 「シオンはここに居て。EEには挨拶くらいしないと」 アズはツールボックスのラムダナイフを取り出すと、座席脇のレバーを引いた。 額から血が流れているのは分かっているけど、気にしない。 キャノピーがぐわんと空いて、コクピットがスルリと押し出された。 押し出されたそこは、嫌になるくらいの鉄の味がする。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加