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轟音が大気を揺さぶり始めた。
シャゲポーの母艦を捕捉したドゴンゴの砲撃である。
シャゲポー側もそれに応えて砲弾を放ち、夜の空にオレンジや赤い線が行き交う。
葉巻型で巨大なシャゲポーの母船であるけど、搭載しているブレーンシップはオカルト1機だけらしい。
ジャーンのイエロラに食い付かれると、ジリジリと北の方へさがり始めた。
アズのイエロラと、EEのオカルトが落ちたのは砂浜である。
頭からそれに突っ込んだイエロラを、静かな波が洗っている。
「アズ‥大丈夫?」
墜落の瞬間、アズはコクピット中の斥力を、シオンを守る事だけに使った。
自身の体は、強かに計器類にぶつけている。
「意識は快晴の空だよ。若干、見慣れない黒い鳥が、こっちを見ているのが不愉快だけど」
イエロラのすぐ隣で、オカルトも海面に首を突っ込んだまま動かない。
「シオンはここに居て。EEには挨拶くらいしないと」
アズはツールボックスのラムダナイフを取り出すと、座席脇のレバーを引いた。
額から血が流れているのは分かっているけど、気にしない。
キャノピーがぐわんと空いて、コクピットがスルリと押し出された。
押し出されたそこは、嫌になるくらいの鉄の味がする。
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