97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「どうなのさEE。降参する?」
アズは頭を打ち過ぎたかも知れない。
どちらが勝ちか、まだ分からない。
「オカルトを置いて去るなら許してやる!」
ほらね。
波の音がパシャリパシャリとして、空には相変わらずの半月。
ドゴンゴとジャゲポーの母船は北の山の陰に消えて、大砲の音はもう聞こえないから、おそらくは休戦。
《ナチュラルだからって偉そうにするな》
「フン!」
どういう受け答えか分からないけれど、アズは口を真っ直ぐに結んで、ジャケットの袖で額の血を拭った。
グイングインと音がして、オカルトのコクピットの辺りからカタパルトが空に伸びた。
《この借りはイベントで、必ず返す》
カタパルトの上に出たのは砲弾型のコクピット。
「ああ、決着はその時だ」
だんだん不安になって来た。
アズが片足を照準器に乗せて腕を組むと、オカルトのコクピットは赤い炎と沢山の煙を撒き散らしながらカタパルトを滑った。
アズの体を風圧で飛ばしたそれは、もくもくもくと北の空へ飛んだ。
アズは砂の上にドサリと落ちて、ヘッっと笑って直ぐに目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!