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行列のむこう、食堂の厨房でシオンはジャガイモの皮でも剥いているのかしら? いやいや、包丁が使えないんだから皿洗いだな‥‥と考えながらアズは歩いている。
巨大なドングリ(ドゴンゴ)は、底にある格納庫、中間部分の居住区、上部の航行管制区の3つに分かれている。
食堂を過ぎて暫く進むと、スロープは行き止まり。
鉄製の梯子が真上に伸びている。
梯子を上り航行管制区に入ると、居住区とは異なり、壁も床も鉄製の空間である。
「鉄の匂いがキツい」
アズは小さい鼻をクンクンと鳴らした。
「このフロアはリボン達の生活空間だからね」
ロマァがアズの疑問に対して、後ろから答えた。
廊下をはさんで鉄製のドアが続いている。
ジャーン付きのフラワー、ガジャラ付きのサファイア、そしてロマァ付きのリボン。
彼女達の部屋はこの中のどれかで、部屋の中には大きめのバスタブがある筈である。
第1物質クリルを溶かした液体、毎日それに浸かる事で、彼女達は思考波を用い新物質に働きかけるF体であり続けている。
そしておそらく、彼女達には幼少の頃の記憶が無い。
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