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重い鉄の扉。
太いノブを倒し、外側に引く。
広く円い空間の中心に操舵ブースがあり、毛皮の袖無しを着たガジャラが操舵輪を握っている。
操舵ブースを取り巻くようにして12のコアシートがあり、異能体と呼ばれる者達が、何本もの線が付いた帽子を被り、静かに目を閉じている。
「駄目ですねぇ、オカルトはデカ過ぎですぜ」
ジャーンの姿を確認すると、ガジャラは渋面で訴えた。
「‥‥‥」
ガジャラの渋面はジャーンにも移り、空挺団の総帥は腰からサーベルを鞘ごとはずし、その先端で床を3度つついた。
カツカツと歩き、壁に掛けられた内線電話を手にした。
「ジャーンだ、3番機のコクピットを、無理無理オカルトにぶち込んでしまいな! 固めて線を繋ぐだけで良い。ドゴンゴが落ちる前に完了させな!」
アズはその声を聞きながら、空いているコアシートに座った。
「ジャーン様、無茶ですぜ。そんなブレーンシップ誰が飛ばすんですか?」
受話器を置いたジャーンは、顎でアズを指した。
「ふ───っ」
深く息を吸ったアズは、静かにまぶたを閉じた。
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