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「皆さ~ん、お疲れ様。アップルパイを焼いて来たから〈おやつ〉にしましょう」
「あ、シオンちゃん!」
メカニックパイロットのストンコは、シオンの声を聞くとオカルトに掛けられたタラップを、テケテケと降りて行った。
他の5、6人のメカニックも同じ、広い格納庫のあちこちから、テケテケとアップルパイ、いやシオンの元に駆け寄った。
「なんだよ、まったく!」
アズは口を尖らせて、パネル下の緑のボタンを押した。
《フラワー聞こえる?》
《聞こえてよ》
《オヤツにしたいんだけど》
《どうぞ》
イアーノウを使った船内通信である。
《日本人は時間にルーズなのね》
これはリボンからの思考派。
《けれどもさ、焼きたてのアップルパイだから》
《‥‥いいわ。食べてきたら》
《ありがと!》
アズが立ち上がると、ドゴンゴはズシリと下へ下がった。
それまでアズが浮かせていたオカルトの重量が、ドスンと下へ働いたから。
「ちゃちゃっと食べて、ちゃちゃっと戻るよ」
ストンコ・ウーがしたように、アズもテケテケとタラップを降りた。
リボンと普通に会話できた事が、嬉しかった。
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