97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
サフスのブレーンシップ、ローズマリーが落ちたのは、田んぼの中にある小島のような松の林。
「私はつまり‥サフスのパイロットに思考波を送るだけ?」
2人の足に伝わるのは、田んぼの土のニュルっとした感じに、枯れた稲の切り株のザクザクとした感じ。
小川の土手にバイクを止めた2人。アズが前、シオンが後ろになって歩いている。
「ラムダが有るからピストルの弾は当たらない。けれども念のためだ。シオンは木の陰にでも隠れていて」
アズもシオンも夜目が効く、と言うよりは夜が見える。
思考波? 何やら聞き慣れない言葉を使っている。
「サフスの救助隊が来るんじゃないの?」
「ブレーンシップだよ。レーダーとかには映らないさ」
鉄の匂いがキツくなってきた。
松林の中からは、長い長い銀色の翼が飛び出ている。
「パイロットさんは、信号弾でも上げたいところだけど、それをしたら空賊にみつかっちゃう」
カチッ
松林の中で、何かが光った。
その次にシュッという音がして、一筋の光る煙が空へ伸びた。
「えっ! 信号弾を射っちゃったの?」
アズとシオンは、淡い半月へ向けて昇って行く光の弾を、口をあんぐりとさせて見上げている。
「ドゥ ユウ スピーク イングリッシュ?」
何時からそこに居たのか? 白いパイロットスーツの軍人さんが、シオンの肩をポンと叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!