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「アズ、おい、ヤナギ・アズ!ラムダを格納庫の中で使うのは止さないか!」
シオンと入れ替わりに格納庫への扉を潜ったのは、アルミナ・ジャーンである。
斥力の風に黒のロングコートをバタつかせながら、シオンとは全く逆、工具箱を掴んで風を避け、鉄のポールを掴んでオカルトの機首の下へ来た。
「あらあら」
キャノピーを開けたままのオカルト。
コアシートには、取り敢えずストンコ・ウーが座っている。
「はいジャーンさん、ラムダやめましたよ」
ジャーンの逆立っていた黒髪はフワリと下に垂れ、コートのバタつきも収まった。
「ところでアズ、お前、お祭りは好きか?」
上を向いて怒ったように聞く。
「そりゃ嫌いじゃないですけれどね」
アズは右手で操縦桿を持ったまま立ち上がり、その姿勢で器用に左足のペダルを踏みながら、上半身をコクピットから外に出した。
「決まりだ」
「何なんです? その遠回しな言い方」
ジャーンは怒り顔のまま笑うという特技を見せた。
「たった今シオンにも聞いたが、アイツも祭りが好きだそうだ。空賊イベントに出場する我が空挺団の代表の座を、お前とシオンに呉れてやる」
「おやまぁ」
やり取りを聞いていたコアシートのストンコ・ウーは、呆れた顔をした。
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