人任せは風任せ

10/17

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
  「それにしてもお客さんの駐機スペースが無いねぇ。仕方ない、おいメカニック達! イエロラ2機をドゴンゴの外にぶら下げな。それが済んだらジジイの機の着艦準備だ!」 広い格納庫の筈だが、大きなオカルトに場所を使わせ過ぎていて狭い。 メカニック達は機敏に動き、オカルトの為に開けている左右の大扉に加え、ガガガガと下部の大扉も開けた。 ギリギリと大型のウインチが回り、コクピットの抜かれたイエロラ3番機とガジャラの2番機が下の空に降ろされて行く。 横からも下からも、初冬の大陸の風が吹き込んで来る。 網状の床の上にサーベルの頭を突いて仁王立ちのジャーンは、メカニック達に次の指示を出した。 「着艦用アームを前方に出せ! もしもの場合に備えて、捕獲網の射出器には火薬を詰めておけ!」 先端にフックの付いた長いアームは、格納庫の中央で長い腕を畳んでいる。 複数のシリンダーにオイルが押し込まれると、赤いペンキで塗られた着艦用アームは、開かれた前方の扉にグイグイと伸びていく。 「アズ!〈お題〉の伝達が完了した時点で祭りは始まる。心して掛かれ!」 アズは赤いアームが伸びて行く先を見ている。 小さいブレーンシップが、フラフラと近づいて来る。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加