人任せは風任せ

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  「メカニック・ウーさん、誰なんです? あんなヨロヨロな飛び方をする人」 成る程、ドゴンゴに近付いてくる旧型機は、今にも失速して落ちて行きそうである。 「ああ、空賊には定年制があってね、70才を過ぎて引退した後は、それまで積み立てていた空賊年金で暮らしているんだ。年金をもらっているご老人達の横の繋がりが、空賊OB会」 「はあ?」 「ついでに言うけど、キラン軍と空賊のパイプ役を担っているのがOB会で、現役の空賊団間の力のバランスを絶妙にコントロールしている。空賊イベントがその一例で、今飛んで来る旧型のイエロラは、恐らくイベント内容の告知者さ。それから僕はストンコ・ウーであるから」 長い長い。 ヨロヨロ飛行のイエロラは両脚を出して、着艦用アームを掴まえる姿勢をとった。 そしてヨロけた。 「あらら‥」 アズは、そのイエロラを助けに行こうとして、オカルトのキャノピーを閉じる段取りに入った。 緊急救助用の捕獲網の射手は、網の詰まった大砲のトリガーに指を掛けた。 キーン。 アズの頭の裏に金属音が走ると、それまでヨロヨロだった旧型機は、クルクルと回転を加えながら機首を上げた。 「老人1人と、何だか面倒臭い奴が1人‥」 そう呟いたアズは、キャノピーを閉じる事を止めた。  
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