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赤いアームが、翼をV字に畳んだイエロラをぶら下げて来る。
「アルミナ、よくもまぁレプリカの駆るのオカルトを墜としたものよ」
イエロラの機体はぶら下げられて垂直で、舌のように吐き出されたコクピットだけが水平。
(レプリカ‥EEの事?)
アズは、そのコクピットで笑う小柄な老人の動きに合わせ、首を横に動かした。
「アズ、レプリカとは何だ?」
それをアズに尋ねたと言うことは、ジャーンもレプリカという言葉を知らない。
(F体とはまた違った異能体を指す言葉か?)
仏頂面をして考えるアズの頭を、アルミナ・ジャーンはポンポンと叩く。
ポンポン。
ドゴンゴの下部ハッチがゆっくりと閉じられると、メカニック2人がタイヤの付いたタラップをカラカラと押して来た。
「ジャゲボーの親父殿、元気そうだな」
タラップに足を掛けた老人にジャーンは言った。
「元気も元気大元気じゃ」
タラップを降り始めた老人に、今度は後ろから、コアシートに座る女が声を出した。
「ジャゲボー殿、お喋りの内容は選んで頂きたい」
土色の軍服、金色の髪で狐顔。
「ジャーンさん、あの人、嫌な感じがする」
アズはジャーンの感想を待った。
「監察部の人間は、皆あんな感じだ」
ジャーンは、苦虫を噛み潰したような顔。
ポンポンとまた、アズの頭を叩く。
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