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「ずっと日本の空に居ったのか?」
ドン・ジャゲボーの白い髭。
「いいえ。南洋までは足を伸ばしました」
アルミナ・ジャーンは怒り顔である。
「監察部とは如何なる関係で?」
ジャーンは、無表情で此方を見ている軍服の女に目を向けた。
「それ、オカルトじゃよ。あれはオカルトの最新型でな、息子の所が軍から借りていたモノじゃ。サフスへの横流しの嫌疑まで掛けられたから、事実をな、こう見て貰わねばならんかった訳じゃ」
ドン・ジャゲボーが笑いながら腰を叩いたので、タラップを押して来たメカニックの1人が慌てて椅子を持ちに駆け出した。
小柄な白髭のジイさんであるが、彼の現役時代の武勲は若い見習いの空賊でも知っている。
「借りたのはオカルトだけで?」
ジャーンはメカニックが持って来た折り畳み式の椅子を取り上げ、自ら開いて老人に座る事を促した。
「息子はその辺りは教えてくれなんだが、ジャゲボーの船には第2物質アコーサを扱える奴は居らん」
OB会の者は、何れの空挺団にも肩入れしない。
笑いながら老人は、ジャーンが床に置いた椅子に座った。
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