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「で、ドン様。御来艦の理由はイベント内容の伝達では?」
椅子に座った老人に対して、アルミナ・ジャーンは腰を屈めた。
サラサラとした髪が下に垂れた。赤い唇、そして尖った顎を傾けた。
「わしも、あと30歳程も若かければなぁ」
老人はぶくぶくの上着の中へ手を入れた。
「はい。今からは公務ね。イベントの招待状とイベント内容及びルール書」
皺くちゃな小さい手が、2通の茶封筒をジャーンへ渡した。
「明日の午後、キランの髭中将がダッホイに来る。秋の休暇をそこでとられる」
アルミナ・ジャーンは、2つ目の封筒の中身を読んでいる。
「ところでアルミナよ、代表人数は今年も2人。だいぶ前に伝達をしていたから、もう決まっておろう? 今年もあれか、大男のガジャラとかいう奴か?」
「髭中将に〈参った〉と言わせる? 髭中将のお宝の懐中時計を盗む? 髭中将のヒゲを剃る‥‥だと?」
アルミナ・ジャーンの指がプルプルしている。
「‥‥‥ドン様、いくら何でも!」
「ハハハ。面白いじゃろう? ワシの発案じゃ」
プルプル、プルプル。
プルプル
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