人任せは風任せ

16/17

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
  「ヒゲ中将‥‥ギルネ・ザザの事か? そりゃ幾ら何でも無理だろう。休暇中とはいえ大将に1番近いキラン陸軍の中将様だ。イキの良い奴等がワンサカ護衛についているだろう」 オカルトのコアシート、ストンコ・ウーの独り言。 「空賊イベって、こんなんなんですか?」 ジャーンの隣、アズには何が何やら、さっぱり分からなくなった。 「はい。公務はこれで終わりね。それでもってアルミナよ、代表は誰とだれじゃ」 ジイさんの武勲の1つに小型ボード1艘で、サフスの巡洋艦を生け捕りにしたという話がある。 ジャゲポーの母艦の大砲がそれだというから、本当の話なのだろう。 ジイさんの問いかけに、アルミナ・ジャーンは便箋をプルプルさせたままアズの方を見てしまった。 ドン・ジャゲポーもそれにつらてアズを見た。 普通の、キラン領の東部には何処にでも居そうな中背の少年である。 何か違いを探そうと思えば、その黒い瞳が深い深い黒さを感じさせる程度である。 ドン・ジャゲポーは、笑顔のままアズを見続ける。 「お前がオカルトを落としたのだな?」 言い終わると、笑うのを止めた。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加