ヒゲ中将とラスカ・ラスカ

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  大陸の東。 キラン共和国第2の都市ダッホイ。 石と煉瓦の旧市街を囲んで、近代的な高層ビルが建っている。 アズ達が歩いている石畳の道は旧市街。 街は華やいでいて活気があり、中央広場の市には、色とりどりの野菜や果物が積み上げられ、新鮮な魚も多くのカゴに並べられている。 映画館やオペラハウスなどの娯楽施設が昼間も営業をしているあたり、経済的に豊かではないとは言え、さすが世界の1/3を占める共和国の中心的都市である。 「ところでロマァさん、ヒゲ中将ってどんな人なんです?」 棒つきのあめ玉をくわえたアズの前を、男の子の乗る自転車2台が掠めて行く。 「ギルネ・ザザ。ヒゲ中将とは呼ばれているがまだ若い。特進に特進を重ねた作戦畑の出で、サフスタワーが未だに完全稼働をしないのは、彼の突出した頭脳が立てた数々の妨害工作が成功をおさめて来たからだ」 シオンは果物の前で立ち止まり、魚のカゴの前で立ち止まる。 突然の風が吹いて自転車の男の子の帽子は飛ばされ、アズはピョンと跳ねてそれを掴んだ。 「そんな中将様のヒゲを剃る‥‥か」 自転車2台は引き返して来る。  
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