ロブロの馬鹿

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  薄情! とは思ったけれども、松林に消えたアズの考えは、シオンにも分かる。 今、自分の腕を取っているサフスの空軍将校は、女の子に危害を加えるタイプでは無いという事。 「ちょ、ちょっと待て少年!」 シオンに続いて少佐殿も叫んだのだが、何故だか声が上ずっている。 (恋人?) ロブロ・ゼッタの頭が真後ろに有るから、シオンには読めた。 アズが目指している落ちたブレーンシップには、少佐殿の大切なモノがある。 ロブロ・ゼッタは動揺の波をシオンの脳裏にさらすと、彼女の腕を放してアズを追った。 「もう!」 アズが少佐殿に捕まっても困る。 シオンは、アズを追い駆け去って行く青年将校の後頭部に意識を集めた。 咄嗟に思い付いたイメージが、平原の花畑だったので、それをそのまま送った。 この状況でそれをイメージするこの少女。 どちらかと言えば変わり者かもしれない。 「え?」 ロブロ・ゼッタの足が止まった。 彼の心は今、見渡す限りに黄色い花が咲く、春穏やかな平原にフワリフワリと浮かんでいる。  
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