ヒゲ中将とラスカ・ラスカ

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  (なんでこの子がラムダを‥) マンホールの蓋を踏む数人の足音が暗闇に響く。 (くすぐったいな) クロッカスの髪の毛の先が、アズの鼻に触れている。 (ラムダは〈太陽の翼計画〉以外に存在しないはずじゃないのか?) 第3物質ラムダは、最も新しく発見された新物質である。 木星の衛星軌道での投網で、手に入れる。 それを目的にしたのが〈太陽の翼計画〉 日本が経済を傾けてまでして、続けていたものだ。 アズはクロッカスを膝の上に寝かせた。 小さな寝息が心地良い。 (夜まで此処で大人しくするしかない‥‥) アズは冷たいコンサートの壁に寄り掛かった。 《撤収で良いんじゃないの? ギルネ中将もビビりすぎなのさ、クーデターなんてただの噂だろう?》 《こら、軍事回線だぞ、私語は止せ》 《はい。失礼致しました軍曹殿》 《良し、撤収する》 人工的な思考波通信が行われているところからすると、中央広場に侵入した装甲車の何れかには、思考波の送信装置がありF体が乗っているのだろう。 ノーマルはそれらの助けを借り、左耳につけるイアーノウで通信をする。 (クーデターだって? そんな事を考えてる暇があったら、畑の1つも耕せばいいんだ‥‥) アズは何故だか、腹がたった。   
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