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「ラムダの斥力は鉄の味‥‥‥もうイヤ‥ラムダの斥力は‥‥‥イヤ‥」
何時の間に寝てしまったのだろう。
アズは共同溝の暗闇の中、膝の上で寝かせていたクロッカスの寝言で目を覚ました。
「おい、大丈夫か? ねえ!」
「うっ‥‥うっ?」
「あ、起きたんだねクロッカス」
「クロッカスだと? あ、ああ、おきた‥‥」
共同溝は広い地下空間に、上水下水の管、ガス管、今は使われていないが電気の線がまとめられている。
「あのさぁ」
そろそろ分かったのだが、アズは気持ちの切り替えが早いと言うか、行動や考えに落ち着きが無い。
「君、まさかヒゲ将軍の懐中時計とか、盗ってないよね?」
なるほど、そこだね。
「未遂よ。失敗したわ」
「良かった」
はいはい。
「空賊イベントで、アルミナ・ジャーン空挺団の代表をしているヤナギ・アズ。アズと呼んで欲しい」
名乗ってしまう。
「ジャゲポー空賊団の代表のE‥‥いやクロッカスだ」
答える。
クロッカスはアズの膝に頭を置いている。
すこぶる距離が近い。
「正々堂々とやろう」
アズはクロッカスに握手を求めたのだか、クロッカスの顔はアズの膝の上。
クロッカスは笑った。
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