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「引っ越し祝いのパーティー?」
アズが口をあんぐりとさせると、それが満足なのだろう、ベージュのコートはスラリと立った。
「君達2人が越して来たのが昨日。私はその前の日に越して来た。どうだ運命を感じるだろう?」
そのままアズとシオンに背中を見せて、鉄の階段をカンカンと上がる。
「七面鳥の肉だろう、セセラ河の川魚のムニエル。君達には色々な種類の炭酸水を用意しているんだ。さあ、遠慮なくついておいで」
返事も聞かずにカンカンと登って行く。
カンカンに釣られてアズも階段を登る。
「ちょっとアズ! 変だから!こういうの変だから!」
シオンがアズのジャケットの裾を引いたけど、アズは階段をカンカンとついて行く。
「だってさ、七面鳥だよ。スッゴいよ!」
──クスッ
シオンはよれよれのコートの肩が笑ったのを見た。
「駄目だから、ダメダメ」
本気で止めている。
「僕さぁ、目玉焼きの後、何も食べて無いじゃん。なんちゃら河の魚のムニエルだよ。そりゃついて行くでしょ」
「もう!」
仕方なくシオンも階段を登った。
──クスッ
ベージュのコートの肩がまた笑った。
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