01:驚きはすぐそばに

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私は掲示板をチェックする傍ら、慌てて制服の袖に手を通す。 いかんいかん、 かほりん☆さんとリオンさん、二人の不良主婦のペースに巻き込まれてると確実に遅刻する…! 大体、朝の掲示板はいつもこの二人の独壇場だ。 それプラス、通学前の私ってカンジ。 私もすぐにでもガチャしたかったけど、ガチャどころかガチで遅刻しかねないこの状況。 「いってきマウスッ!」 私は玄関を飛び出すと、庭先に置いてある深紅のマイカー(自転車)に飛び乗った。 これで、口に食パンでも頬張っていればさぞかし絵になるのだろうが…、 花も恥じらう女子高生、さすがにそんなファンタジーなマネはしない。 そして、学校に向かう途中の信号待ちで、私はポケットからケータイを取り出してみる。 もちろん、アクセス先は「叛逆のデスペラード」。 ゲームの続行が決まったんだ。手が空いた時にクエスト回してレベル上げなきゃ! 例の武具ガチャも気にはなったけど、お楽しみは後にとっておこう。 私は、そう決めた。 後から思えば、 もしこの時、 ガチャを回していたら、 私はショックのあまり、 信号が青に変わったことにさえ、 気づけなかったことだろう。
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