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私は、画面に表示されたカラフルなダメージ決定ゲージを凝視した。
動きを止めることなく左右に伸縮するバーに集中、集中、集中…。
少しでもポイント差を縮めるために、この目押し、絶対に失敗は許されない!
必ず、MAXで止めてみせる…!
私は自分でも信じられないぐらいの集中力で、ケータイの画面を睨む。
なぜこの集中力が勉強中に発揮できないのか、自分でも不思議に思えるほどに。
集中し過ぎて、まるで自分がケータイの中の世界に引き込まれていくような感覚。
心なしか、
より一層カラフルになったような気がするそのゲージを、
じっと見ているだけで、
なんだか、
我を忘れて、
吸い込まれていくようで……。
…はっ!!
いかんいかん、我を忘れてる場合じゃない!
この試合の勝敗を決める、大事な一瞬なんだ…!
私は思わず息を止め、
ここだ!!という瞬間で、ケータイの決定キーを押した。
スッと滑るように、ゲージは、見事にMAXの位置で止まる。
ピカピカッと、画面でフラッシュが三回瞬いた。
「やったぁ!」
真夜中だというのに、私はつい、歓喜の声を上げてしまった。
パーフェクトッ!
これからはミスター・パーフェクトと呼んでちょうだい!私、女だけど!
さぁ、バトルの結果はいかに…!?
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