第1話 黒き麒麟

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  麟の動きが止まった。 しかも止まっただけじゃない。 殺意を感じだ。 生まれて始めて感じる神の殺意は、あまり感じなくなった絶望と恐怖、そして憤怒を呼び起こし、周りも気が狂い出して、殴り合いが始まってしまうほどだ。 「確かに、少年が近付くなの意味に同意だ。 こいつのせいで、母様を殺されたも当然だからな!」 麟の言葉に総十は、昨日の言葉を思い出し、 『そうか、成る程な、まさか、麟が怒れる相手がこの少年の連れか! ちくしょうが、動けない! 周りも理性を忘れだしている、このままじゃヤバい!!』 分かっても、足が動かないし、周りも混乱、麟に至っては、無理からぬ事だが、この状況を理解出来ていない。 少年なんかは、札で口を塞がれ、もがいているが、きっとまた男の名を叫んでいた。 止めに行きたいのに動けない。 また、あの時を少年と自分をダブらせ、向かいたいのに、麟の殺意は人をおかしくさせ、土鬼までも怖がって近付けなかった。 止められないのかと半分諦め掛けた時、かよだけがこの空間を走り、麟の前に立ちはだかった。 「麟様! 例えこの男が麟様の仇でも、かよの前で殺さないでください! 後、後、この男を殺せばきっとあの少年が麟様の気持ちと一緒になります!」 その言葉に麟は、 「なら一緒に殺るか?」 この問いにかよは半分怒って、 「駄目です! それではなんの解決になりません!」 言い放った途端、泣き出し、跪いて動けなくなった。 漸く麟は、我に戻ると、辺りも理性を取り戻し、何があったと言っていた。 麟はかよを抱き締め、 「……大丈夫、悪かったな泣かせて」 謝りながら、袖から札を取り出し、男に投げた。 「おい!」 まさか殺すのかと思えば、 「安心しろ、ただの止血だ。 後、邪気の原因はあれの後ろだ」 止血の為の札だった。 そして麟の言う通り、腐った遺体が転がっていた。  
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