第1話 黒き麒麟

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  その頃には、朝日も登っていた。 寝て2時間は経っただろうか、牢の番が、 「総十殿、眠りを妨げるのをどうかお許し下さい」 総十を起こして、何か伝えたがっていた。 気持ちよく寝ていたのにと、不服な顔で起きた総十は、背伸びをし、 「なんだよ、まだ土鬼帰ってきてないのかぁ?」 土鬼でも来たのかと思ったのに、起こすなよと言わんばかりに眠たい目で睨み付ける。 「それは本当に申し訳ありません。 あの少年の口だけ開けさせてくれまいか?」 「なんで? ……あぁ食事な、確か麟が言うには吸血鬼で血を捕食に食らうやつだろ? それだったらそのままやれば……」 なんだそれか、液ならそのまま流し込めば飲めるんだか、起こすなとまた横になった時、 「それはしたんですが、嫌がって飲んでくれないのだ。 色々試すも、怯えてしまって、こちらもどうするば分からないのです」 牢の番が本気で困っていて、改めて起き上がり、 「はっ?」 今の状況に理解出来なく、何故、そうなったのか、やっと疑問を持った。 屋敷の地下は思いの外、広く清潔的で、空気穴はあるが、決して日の入らない仕組みとなり、松明は常に燃えていた。 一番の奥、最も日の入らない木の牢に呪を着けたまま少年は、その中に放り込まれていた。 そこへ総十が嫌々ながらもやって来て、 「おい、血を飲まないと命に関わるだろ?」 少年に言うが、警戒してか、睨み付けるだけで一切聞く耳を持っていなかった。 「仕方ない、無理矢理にでも飲ませるか」 そう言った直後だ、少年が急に怯え、飲まされてたまるかと、顔を隠した。  
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