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その頃には、朝日も登っていた。
寝て2時間は経っただろうか、牢の番が、
「総十殿、眠りを妨げるのをどうかお許し下さい」
総十を起こして、何か伝えたがっていた。
気持ちよく寝ていたのにと、不服な顔で起きた総十は、背伸びをし、
「なんだよ、まだ土鬼帰ってきてないのかぁ?」
土鬼でも来たのかと思ったのに、起こすなよと言わんばかりに眠たい目で睨み付ける。
「それは本当に申し訳ありません。
あの少年の口だけ開けさせてくれまいか?」
「なんで? ……あぁ食事な、確か麟が言うには吸血鬼で血を捕食に食らうやつだろ?
それだったらそのままやれば……」
なんだそれか、液ならそのまま流し込めば飲めるんだか、起こすなとまた横になった時、
「それはしたんですが、嫌がって飲んでくれないのだ。
色々試すも、怯えてしまって、こちらもどうするば分からないのです」
牢の番が本気で困っていて、改めて起き上がり、
「はっ?」
今の状況に理解出来なく、何故、そうなったのか、やっと疑問を持った。
屋敷の地下は思いの外、広く清潔的で、空気穴はあるが、決して日の入らない仕組みとなり、松明は常に燃えていた。
一番の奥、最も日の入らない木の牢に呪を着けたまま少年は、その中に放り込まれていた。
そこへ総十が嫌々ながらもやって来て、
「おい、血を飲まないと命に関わるだろ?」
少年に言うが、警戒してか、睨み付けるだけで一切聞く耳を持っていなかった。
「仕方ない、無理矢理にでも飲ませるか」
そう言った直後だ、少年が急に怯え、飲まされてたまるかと、顔を隠した。
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