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血が舞う光景は、何故かゆっくりゆっくり時を刻む。
ディダの体を切る邪刀(じゃとう)、男と邪刀を刃だけとなった聖刀が切り裂き、血が舞う中、男が倒れた。
倒れた直後に時間が戻り、ディダの血が顔に付着し、ディダも倒れた。
周りにも血が飛び交い、ディダから広がる血に青ざめ、
「ディダァァァ!! ディダ、ディダ!!」
すぐに駆け寄り、色んな箇所の傷口よりも、右肩から脇腹に掛けて切られた大きな切り口から、ドクドクと流れ、ディダの口からも、血が出た。
話そうと口を開くディダだが、声を出そうとする度、血が溢れ出す。
「話さないで! すぐに治療しなきゃ……やだ……止まれよ……!!
っわぁぁぁぁあぁ!!!!」
服を破き、傷口を縛るが、流れ出す血は夥しく、ディダが死ぬ恐怖に怯え、叫ぶも誰にも聞こえていないと、泣き叫んだ。
古き言い伝え、“この土地に入ってはならぬ、入れば死よりも恐ろしい罰が下る”これは黒き麒麟と呼ばれる神様が、生き物全てを拒否した言葉です。
しかし、時代が黒き麒麟様を動かし、心を変えさせた。
不思議なモノです。
動物も人も変わり者だと笑う事でしょう。
それでも、黒き麒麟様は、微笑むばかりでした。
誰もが頭を傾げる様な話も、つい最近出来たお話で、実際本当かどうか、分かりません。
「――と言う話があったが、一体どんなモノか」
1ヶ月位前、黒き麒麟の噂を聞き、どんなものかと軽はずみだった。
死ぬとかは怖くない。
ただ痛いだけの体より、よっぽど良いものだ。
「もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ」
「煩いぞ、土鬼」
土鬼が興奮しているのは、神が住まう土地はより良い土だと言われ、豊作が約束される。
要するに、土鬼の力の源となる土が良いと言うわけだ。
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