第1話 黒き麒麟

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  しかし、やけに静かで、本当にこの辺りが黒き麒麟の住まう土地が、人や動物を招き入れた噂は嘘みたいだ。 いや実際嘘で招き入れてはなく、出任せを言って邪魔者を排除させるためなのかもしれない。 それとも、黒き麒麟はデマだったとか、違うか、土鬼のだらけゴロゴロ転がっているのだから、神の地は近いんだろう。 急に土鬼がだらけるのを止め、ある一点を見つめていた。 警戒している。 「なんかいるのか?」 じっと、土鬼が見ている方向に目を細めた。 小さな影が横切ったかと思えば、次々と大きな影が小さな影を追っていた。 なんか腹立つ光景だ。 「土鬼、あそこまで連れて行け」 小さな少女は、近くの村から貴重な薬草を買い、帰り道の事、山賊となったあぶれ者達に、薬草を狙われ、必死に逃げていた。 怖い声が追いかけ回し、少女が躓(つまず)き、ズザッと滑る様に転んだ。 あぶれ者達は、刀を見せびらかしながら、 「手間かけさせるんじゃねぇ!!」 「少しいたぶらないと分からないかもな」 「久々の女が、少女なのは惜しいが」 「やっちまうか!」 欲情を見せ始め、少女は、怯え泣きながら、 「り、麟様……!」 小さくも出た言葉だった。 「おっ! 意外といい趣味しているな、おっさん達」 別の方向から男性が現れた。 「なんだ貴様! やっちまえ!」 欲情を邪魔され、ぶちギレたリーダー格の指示で、あぶれ者達が襲い掛かってきた。 「俺、戦うの苦手なんだわ」 そう言った直後、いきなりあぶれ者達が、地面に吸い込まれるように落ちてあった。 あぶれ者達が悲鳴を上げているのをよそに、男が軽く落ちていった穴を飛び越え、 「さてと、後はあんただ。 俺、頭には容赦しないよ? それとも、たまたま指示しただけ?」 残り1人に聞いた。  
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