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しかし、やけに静かで、本当にこの辺りが黒き麒麟の住まう土地が、人や動物を招き入れた噂は嘘みたいだ。
いや実際嘘で招き入れてはなく、出任せを言って邪魔者を排除させるためなのかもしれない。
それとも、黒き麒麟はデマだったとか、違うか、土鬼のだらけゴロゴロ転がっているのだから、神の地は近いんだろう。
急に土鬼がだらけるのを止め、ある一点を見つめていた。
警戒している。
「なんかいるのか?」
じっと、土鬼が見ている方向に目を細めた。
小さな影が横切ったかと思えば、次々と大きな影が小さな影を追っていた。
なんか腹立つ光景だ。
「土鬼、あそこまで連れて行け」
小さな少女は、近くの村から貴重な薬草を買い、帰り道の事、山賊となったあぶれ者達に、薬草を狙われ、必死に逃げていた。
怖い声が追いかけ回し、少女が躓(つまず)き、ズザッと滑る様に転んだ。
あぶれ者達は、刀を見せびらかしながら、
「手間かけさせるんじゃねぇ!!」
「少しいたぶらないと分からないかもな」
「久々の女が、少女なのは惜しいが」
「やっちまうか!」
欲情を見せ始め、少女は、怯え泣きながら、
「り、麟様……!」
小さくも出た言葉だった。
「おっ! 意外といい趣味しているな、おっさん達」
別の方向から男性が現れた。
「なんだ貴様! やっちまえ!」
欲情を邪魔され、ぶちギレたリーダー格の指示で、あぶれ者達が襲い掛かってきた。
「俺、戦うの苦手なんだわ」
そう言った直後、いきなりあぶれ者達が、地面に吸い込まれるように落ちてあった。
あぶれ者達が悲鳴を上げているのをよそに、男が軽く落ちていった穴を飛び越え、
「さてと、後はあんただ。
俺、頭には容赦しないよ?
それとも、たまたま指示しただけ?」
残り1人に聞いた。
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