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赤に近い茶色の髪の14か15の少年が泣き崩れていて、
「まだガキか?」
そう思って、近くに寄ろうとした。
「皆、周りを囲め!」
この声は、麟の声、驚いて振り向くと、既に男達が周りを囲い始めていた。
総十はすかさず麟に、
「麟! ただのガキだろ!? 一々囲わなくても良いだろ!」
そう言いながら、少年を見せた。
少年は未だこの状況に、気付かず泣き続けていた。
「お前は、この中心に蔓延る邪気の強さが分からないのか?」
その言葉を言われるまでもなく、総十は気が付いていたが、
「だったらまず、ガキの保護やらここから追い出すのが最優先だろ?」
とりあえず邪気から遠ざけるべきと、口に出すが、麟は少年よりも、何かを感じていた。
「その少年を退けろ」
「はっ!」
男2人が、麟の指示で少年を退けようと動く。
最初、総十は止めに入ろうか悩むが、しがみついている親か、成人した男に泣きじゃくっている少年を引き離し、多分可哀想だが亡くなっている可能性が高い。
邪気はその成人した男の可能性もあり、引き離すが一番と考えれば、最も良策だ。
少し気になって、
「一体どうやって来たんだ? あの速さで?」
土鬼の速さは、土の中にいることで、相当な速さが出て、人間の男達はまず付いていけない。
麟なら可能だが、どうやって他の人間の男達を連れてきたのか、答え方を聞いてみたいと言う好奇心だ。
でもさすがは神である麟、
「ナメるな、私は黒き麒麟だぞ?」
こう返ってきて笑いそうになった。
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