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「和希、和希! 話を聞いてる? 私の声は届いてる?」
それは、学校からの帰り道。
和希の隣を歩いていた同級生の日向イサミが、大声をあげた。
「あ、うん。聞いてる。聞いてるよ。明日の参観日のことだろ?」
和希は、特になにを考えていたわけでもない。それでもイサミには話を聞いていないように見えていたのだろう。
和希は、イサミの方へ振り向いて立ち止まる。交差点の信号は赤だった。六月の湿った風が、擦り抜けていく。
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