先輩

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「ま、いいけど」 「おしっ じゃ 決まりね!」 複雑な想いもあったが、なんとなく正紀だけが肖さんと親しくなるのは嫌な気がした。 正紀は 嬉しそうに部活の顧問のところに走って行き 話をしている。 俺も仕方なく正紀のほうに近づいて行った。 「ね、君。一宮くんだったかな」 肖さんに 話しかけられた。 「え!」 驚いて 顔を見る。 額に汗が光っていて、色っぽい。 悔しいけれど 何もかも負けている気がした。 「多分、あの元気な稲葉くんてコに引っ張って来られたんだろ?」 肖さんは 笑った。 「あー はい。そうです」 俺も笑った。 二人で正紀の背中を見る。 正紀を肖さんに取られたくない…。 こんな気持ちが沸き上がってきた。 今まで 人に対して執着したことは無かったけど。 何故か 正紀は 特別に感じた。
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