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「おいっす」
後ろから 声を掛けられて 硬くなった。
新学期が始まって まだ 3日だというのに この馴れ馴れしさ。
なんだ?コイツ。
振り返ると ニコニコと親し気な顔の正紀が立っていた。
「一宮、和哉! あってる? あってるよね? 俺 名前覚えるの結構早いの!」
「あーそうですか」
嬉しそうな正紀に、愛想なく答えると 途端に不安そうな顔になる。
「え?違ってる?ごめん、誰くん?」
「誰くんて」
思わず 笑うと 正紀は 嬉しそうな顔になった。
「俺の名前は?解る?ヒントあげよっか!」
解ってるよ。稲葉正紀。出席番号3番。趣味 草野球。 あんだけ 派手な自己紹介しといて よく言うよ。
「興味ないです」
俺は そのまま席に着いた。
「なんだよー、当てろよー。ヒントあげるからさー」
あまりに しつこい正紀に 思わず 吹き出してしまった。
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