1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「…………」
真っ暗な闇の中。
「…………」
女の子の、すすり泣く声が聞こえる。
「……ごめ、んね……」
女の子は、流れる涙を擦りながら、俺に謝っている。
彼女は悪くないのに。
悪いのは、彼女じゃないのに。
「ごめん、ね……」
泣きながら謝り続ける女の子に、俺は声をかけようと口を開く。
謝らないで。君のせいじゃないから。
そうやって、声をかけようと口を開く。
「…………」
でも、言葉は出ない。
俺はただ口をパクパクさせるだけで。
その言葉は音にならずに、宙に消えた。
「ごめんね……」
そして、女の子は顔を上げる。
「ごめんねーー」
真っ直ぐな瞳で、ひどく悲しそうな表情で、女の子は俺を見つめて……
「ーー浩太郎」
その女の子が、幼なじみの築島香澄だとわかった瞬間、
ーー目が覚めた。
最初のコメントを投稿しよう!