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異世界
鈴木リコ。これが私の名前。
どこにでもある名前。
春から大学に通い始めて、平凡に生きている。
でも私には両親の記憶がない。
(どうして…。記憶がないんだろう…。)
ぼんやり考えているとまた光が私を包んだ。
(まぶしい。)
現実に戻された。
恐る恐る目を開けると、そこは見た事もない世界だった。
見たこともない花が咲き、川が虹のように空を流れてる。
そして目の前には羽の生えたうさぎが私の顔を不思議そうに覗き込んでいた。
「ここはどこなの?」
うさぎに話しかけても、答えなんて返って来ないのに、パニック寸前の自分をなだめるように話しかけていた。
状況が掴めない。
(私、部屋にいたはずなのに。)
「君どこからきたの?飛ばされてきたの?ここは願いの国。人の願いが集まる国だよ。 」
「えっ?話せるの?」
「話せるさ。だって、この世界で出来ないことなんて何もないんだから。」
訳がわからない。
言葉を話せる動物なんて、ありえない。
それに、私は部屋に居たはずなのに…。
(落ち着け。)
自分に言い聞かせた。
目を閉じて深呼吸をして、もう一度目を開けて見たが、やっぱり羽の生えたうさぎが目の前にいる。
立ち上がろうとして、地面に手をつくと硬いものが手に触れた。
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