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今日は、いつにも増して暑い。
夏始めだというのに、焼けつくような暑さに思わず参ってしまう。しかし空を見上げれば、一面雲一つない深い青が澄み渡っていて、その夏独特の光景を見るのは決して嫌いではなかった。
鳥のさえずりや、木々の擦れる音。それらの日常的な音でさえ、とても新鮮に感じられる。
どんな暑さだろうと、必ず希望や夢がいつだって心を満たしていて。
今日は、そんな最高の日。
俺ーーダニエル=クラネルにとって、第二の人生の出発であって、衝撃かつ、感動的な日々の始まりだった。
生まれて苦節18年。
夢追い求めて、早10年の月日。
俺は背筋を伸ばし、朝しっかりと整えた軍服や髪方をもう一度確認しながら、その建物を見る。
「……来たんだよなぁ」
ついそんな事を言うのは、これからの覚悟の象徴だ。俺はこれから、この場所で精一杯生きていくんだ、という決意。
これからが始まり、その最初の一歩を今、確実に踏み締める。
俺は目の前の建物、ドレッドノートに向かって、勢いよく敬礼した。
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