268人が本棚に入れています
本棚に追加
/278ページ
「ご主人様?」
「あそこまであからさまに仕掛けてくるとはな……俺も甘く見られたものだ。これでは穏やかな新生活など到底望めないな」
青年は車窓に流れる景色に目を細める。
(青き瞳の君……君はずっと俺の名を呼んでいたな)
意思の強そうな目。
しなやかで引き締まった体躯。
冬の青空の様に澄んだ、美しい青い瞳。
夢で見る彼は、いつも頼もしく笑って青年に手を差し伸べてきた。
(君を知ってから……俺はずっと君に逢う日を待ち望んでいた……)
ビルに切り取られた四角い青空を眺め、青年は優しく微笑んだ。
(ようやく、逢えるのだな……)
最初のコメントを投稿しよう!