―第壱章―

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「ご主人様?」 「あそこまであからさまに仕掛けてくるとはな……俺も甘く見られたものだ。これでは穏やかな新生活など到底望めないな」 青年は車窓に流れる景色に目を細める。 (青き瞳の君……君はずっと俺の名を呼んでいたな) 意思の強そうな目。 しなやかで引き締まった体躯。 冬の青空の様に澄んだ、美しい青い瞳。 夢で見る彼は、いつも頼もしく笑って青年に手を差し伸べてきた。 (君を知ってから……俺はずっと君に逢う日を待ち望んでいた……) ビルに切り取られた四角い青空を眺め、青年は優しく微笑んだ。 (ようやく、逢えるのだな……)
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