未名月ゼミによる考察

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 あれから麻賀津原では警察官による遺体の現場検証と、今朝麻賀津原にいた人間全員のアリバイ調査が開始された。未名月ゼミの一行もそれに巻き込まれ遺跡の調査も出来ないまま、麻賀津原の周辺の空き地に足止めされていた。 「あーあ。これでしばらく麻賀津原は立ち入り禁止になるだろうな」  すでに事情聴取を終え残っている皆と少し早い弁当を食べていた北沢がぼやくと、未名月はすかさず詫びの言葉を述べた。 「そうだね。この件では君たちに迷惑をかけて悪かったと思っている。二、三日様子を見て帰るかどうか検討するが、その間君たちの研究が滞る事がないよう、私が責任もって君たちを指導するよ」 「いや、先生は全く悪くないですし」と北沢が顔の前で両手を振りながら言った時、向こうの方からバイクの音が近づいてきた。未名月たちがそちらを眺めると、バイクは未名月たちの前で止まり脱いだヘルメットの中から年の頃四十位の男の顔が現れた。 「済みません。こちらで発掘調査をなさっている方ですか」と男に聞かれたので未名月が「ええ」と答えると、男は「ここで決闘が行われたというのは本当ですか」と聞いた。
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