未名月ゼミによる考察

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「け、決闘、ですか」その問いかけは未名月にとって酷く突飛に聞こえた。 「そうです。春木家の敬一郎さんと麻賀津神社の宮司が決闘したそうじゃないですか」 「いや決闘は」と未名月が言いかけると、背後から「何をしにいらしたのですか、笠原さん」という時也の冷ややかな声が聞こえてきた。  未名月は時也にこの男の事を説明しようと口を開きかけたがその前にこの笠原と呼ばれた男が時也ににじりより「時也君、敬一郎君が勇さんと決闘したという噂は本当かね」と尋ねた。その行動は男に対して冷ややかな態度をとっていた時也も面食らったようで「いや、違います」と困惑した様子で答えた。  すると「違うのかい。となるとやはり勇さんは抗議のために麻賀津原で切腹したという噂の方がが正しかったのか」と笠原が一人納得した感じで頷いた。未名月は笠原がこれ以上間違った事を言い続ける事を止めさせようと口を開いた。 「笠原さんでしたね。確かにこちらで、男性のご遺体をうちの学生が発見しました。しかしまだそのご遺体の身元は判明しては」と言いかけた。
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